肺がんの症状|初期症状と末期症状の特徴、主な原因や発覚のきっかけについて解説

「咳が続いているけど肺がんかもしれない…」このような不安を抱えている方も多いのではないでしょうか。肺がんは早期発見が難しく、がんの中でも死亡率が高い病気です。ただの風邪だと思いこんで放置すると肺がんが進行してしまうかもしれません。

この記事では、肺がんの原因や初期や末期に現れる症状などについて詳しく解説します。さらに、早期発見のための検査方法についてもお伝えしますので、症状に心当たりがある方はぜひ参考にしてください。

目次

肺がんとは

肺がんは、気管支や肺胞の細胞が何らかの原因でがん化して異常な増殖を繰り返す病気です。進行すると血液やリンパの流れにのって、リンパ節や肺の他の部位、胸膜、骨、脳、肝臓、副腎などに転移する可能性もあります。肺がんは他のがんに比べて死亡数が多く、男性の部位別がん死亡数で最も多い数となっているのです。

主な部位別がんの死亡数は、以下のとおりりです。

【男性】

がんの部位人数
1肺がん52,908
2大腸がん27,936
3胃がん25,325
4膵臓がん19,859
5結腸がん18,146
6肝臓がん15,226
7前立腺がん13,429
8直腸がん9,790
9胆のう・胆管9,220
10食道がん8,647

【女性】

がんの部位人数
1大腸がん25,195
2肺がん22,854
3膵臓がん20,316
4結腸がん19,248
5乳がん15,629
6胃がん13,446
7胆のう・胆管8,019
8肝臓がん7,682
9子宮がん7,137
10悪性リンパ腫6,279

(参考:国立がん研究センター 最新がん統計

肺は胸部の左右に1つずつある臓器で、右の肺は上葉、中葉、下葉の3つ、左の肺は上葉と下葉の2つに分かれています。肺の主な働きは、呼吸によって体中に酸素を取り込み、不要な二酸化炭素を体外に排出することです。

肺の真ん中には空気の通り道となる気管支が通っており、気管支から肺に入る太い部分を「肺門部」、肺の中枢に近い肺門部以外の部分を「肺野部」といいます。枝分かれを繰り返した気管支の先端付近には、肺胞という小さな袋が無数についています。これらのいずれかの部位にがんが発生するのが肺がんです。

肺がんは、がん細胞の形や大きさなどによって大きく以下の2種類に分けられます。

  • 小細胞がん
  • 非小細胞肺がん

それぞれの特徴を解説します。

小細胞がん

小細胞肺がんは、がん細胞の形が小さく、密集して広がるのが特徴です。進行が早く、ほかの臓器にも比較的転移しやすいため、早期発見が困難な場合があります。

喫煙との関連が大きく、肺がん全体の約10~15%を占め、組織型としては3番目に多いタイプになります。その他の主な特徴は以下の通りです。

組織型分類 発生しやすい場所 特徴
小細胞がん 肺門部肺野部 増殖が速い転移しやすい悪性度が高い喫煙との関連が大きい薬物療法(抗がん剤)や放射線療法併用の薬物療法、免疫療法に対する感受性が高い

非小細胞がん

非小細胞肺がんは、肺がんの中で最も一般的な種類で以下の3つに分類されます。

  • 腺がん
  • 扁平上皮がん
  • 大細胞がん

中でも最も多いのが「腺がん」で、肺がん全体の50~60%、次いで多いのは「扁平上皮がん」で、約30%を占めます。主な特徴は以下のとおりです。

組織型分類発生しやすい場所特徴
線がん肺野部日本人の肺がんの中で最も多い症状が出現しにくい
扁平上皮がん肺門(肺野部の発生頻度も高くなってきている)咳や血痰などの症状が出現しやすい喫煙との関連が大きい
大細胞がん肺野部増殖が速い小細胞がんと同じような性質がある

肺がんの主な原因

肺がんは肺細胞の遺伝子に傷がついて発生しますが、最大の原因はたばこの影響です。

たばこの煙には200種類以上の有害物質や70種類以上の発がん性物質が含まれており、吸い込むと細胞が傷ついて遺伝子が変化します。そのため、たばこを吸うと肺がんになるリスクは高まり、男性は約4.8倍、女性は約3.9倍にも増加するのです。

喫煙年数や喫煙本数が多ければ多いほど、がんになるリスクは高まります。受動喫煙でも肺がんのリスクは約1.3倍に増加するため、環境によっては非喫煙者でも決して油断はできません。

また、アルミニウムやヒ素、アスベストなどの吸引も肺がんのリスクが高まります。特に建築解体や産業廃棄物に関わる仕事の方はアルミニウムやヒ素、アスベストを吸引しやすい環境にあるため、防護服や防塵マスクの着用は欠かせません。

肺がんの初期症状

肺がんの初期症状は特有の症状が出現するわけではありません。主な症状は風邪と似ているため、気がつかずにそのまま放置してしまう場合がほとんどです。そのため、肺がんを早期発見するのが難しく、自覚症状が出てきた頃にはある程度進行している可能性が高くなります。

肺がんの主な初期症状は、以下のとおりです。

  • 咳や痰が出る
  • 発熱がある

それぞれ解説します。

咳や痰が出る

肺がんの初期症状で最も多いのが咳や痰です。しかし、風邪、気管支炎、結核、ぜん息、アレルギー性鼻炎、間質性肺炎など、他の呼吸器疾患の症状とも共通しており、咳や痰だけで肺がんと断定するのは簡単ではありません。

なかなか改善せず、「風邪でもないのに咳が2週間以上続く」「血痰が出る」などの症状がみられた場合は早めに病院を受診するようにしましょう。

発熱がある

発熱も肺がんの主症状です。風邪をひいていないのに発熱が長く続く場合は肺がんの可能性があります。発熱が5日以上続いている場合は病院を受診するようにしましょう。

肺がんの末期症状

肺がんの末期では、がんが大きくなったり、周囲の組織に広がって転移したりして、その部位特有の症状が現れます。

主な症状は以下の通りです。

  • 気管支が狭くなり息苦しい
  • 肋骨や胸が痛む
  • 声がかすれる
  • 胸に水が溜まる

それぞれ解説します。

気管支が狭くなり息苦しい

気管支の入り口に近い部分で肺がんが大きくなると、気管支が狭くなり、息苦しくなる症状がみられます。また、気管の分泌物が増えるのも空気の通りが悪くなる原因です。症状によっては喘鳴(ヒューヒュー、ゼーゼーという音)が起こり、息が吐きにくくなる場合もあるでしょう。

肋骨や胸が痛む

肺がんが進行すると肋骨や胸の痛みが生じます。大きくなったがんが肺の周りの神経を圧迫したり、空気が取り込めず肺が潰れたりしてしまうのが原因です。痛みの種類は、鋭い刺すような感覚から鈍い痛みまで人によって差があります。特に咳や深呼吸をした際に強く感じたり、数週間痛みが続いて徐々に悪化したりする場合は要注意です。

声がかすれる

肺がんが大きくなると「嗄声(させい)」と呼ばれる、声がかすれる症状も現れます。声帯を動かす反回神経に肺がんが広がったり、リンパ節転移が神経を圧迫したりするのが原因です。

胸に水が溜まる

肺がんの進行によって、胸に水が溜まる症状も現れます。肺がんが胸膜にまで広がると炎症が生じて、血管から水分やタンパク質が染み出すのが原因です。先述した息苦しさや胸の痛みを伴う場合が多いでしょう。

肺がんかもしれない…前触れや発覚するきっかけはある?

肺がんには前触れや発覚するきっかけはありません。先述したように肺がんの症状は、風邪や気管支炎、肺炎など一般的な呼吸器疾患の症状とほとんど変わらないため、特有の症状がないのが要因です。

早期の肺がんでは症状が出ない場合もあり、あったとしても他の病気との区別はほとんどつきません。そのため、検診や人間ドックで発覚する場合が多いでしょう。検診や人間ドックで発覚した肺がんは初期段階である可能性が高いので、定期的ながん検診を受けるのがおすすめです。

40歳を過ぎたら、年に1度の検診が厚生労働省より推奨されています。咳や痰などの症状が長引いていたり、胸の痛みや発熱が続いたりしている場合は早めに医療機関を受診しましょう。

肺がんで背中の痛みがある場合に余命はどのくらい?

肺がんで背中の痛みがある場合は、骨への転移や周囲の神経にがんが広がっている可能性が考えられます。骨転移がある場合の平均生存期間は以下の通りです。

肺がん全体約4.8ヶ月
非小細胞がん約5.2~9.5ヶ月
小細胞がん約2.4~10.4ヶ月

肺がん末期には、転移したがんがそれぞれの臓器で進行するため、その臓器特有の症状も出現します。骨にがんが転移すると転移部分に激しい痛みが生じたり、骨折したりする場合もあるでしょう。肺がんの末期には他のがんにもみられるような著しい体重低下、全身の倦怠感、耐え難い痛みなどが生じやすくなります。

また、突然の呼吸不全や全身状態の悪化によって最悪の場合、そのまま命を落としてしまうケースも少なくありません。

背中の痛みが生じている場合は、がんの進行度でいうとステージⅣである可能性があります。

肺がんのステージ(病期)ごとの症状は以下の通りです。

ステージⅠがんは肺の中に限定されているため、症状は現れにくい
ステージⅡ症状はないことが多い
ステージⅢ胸膜やリンパ節に転移している場合が多く、それに付随した症状が現れる息苦しさ胸の痛み咳・痰発熱声のかすれ(嗄声)嚥下障害顔、首、腕の腫れ(上大静脈が圧迫されて狭くなっているときに起こる)
ステージⅣ肺以外の臓器に転移している場合が多く、上記の症状に加えて転移先の臓器によってさまざまな全身の症状が出る骨(特に背中、腰、肋骨)の痛み・骨折(骨転移がある場合)頭痛・めまい(脳転移がある場合)吐き気と嘔吐混乱や精神機能の変化食欲不振黄疸・腹水(肝転移がある場合)体重減少

まとめ

肺がんの種類や原因、症状などについて解説してきました。肺がんは初期症状として特有の症状がなく、風邪など他の病気とも似ているため早期発見が困難な病気です。自覚できる症状が出てきた頃にはある程度進行している可能性が高いため、体調不良や気になる症状がある場合は早めに病院を受診しましょう。

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