膵臓が悪いと出る症状とは?膵臓の主な病気や膵臓がんの初期症状について解説

膵臓は自覚症状が出にくい臓器のため、気づいたときには病気が進行している可能性のある臓器です。そのため「胃腸の調子が悪い」「最近、食欲が落ちて体重が減ってきた」などの変化があっても、「まさか膵臓が原因とは思わなかった」という声を耳にすることもあります。

また、実際に膵臓の病気が見つかったときには重症化していることも多く、膵臓の病気になった人の話を聞くと、重症だった話が多いので怖い病気の印象があるかもしれません。

そこで本記事では、そんな不安な気持ちを少しでも解消できるよう、こうした不安や疑問を少しでも解消できるよう、膵臓の主な機能や、膵臓が悪くなったときに現れやすい症状、代表的な病気や初期症状についてわかりやすく解説します。

もし少しでも思い当たる症状がある場合には、早めに専門医を受診し、検査や対策を進めることが大切です。気になるサインを見逃さないためにも、ぜひ最後までお読みください。

目次

膵臓が悪いと出る症状

膵臓は、体内に入ってきたものを消化する際に、重要な役割を担う臓器です。主に次の2つの機能があります。

  1. 食べ物の消化を助ける機能(外分泌機能)

膵臓は消化酵素を作り出し、十二指腸へ分泌することで食べ物の消化をサポートしています。脂質・たんぱく質・炭水化物などを分解し、体が栄養として吸収しやすい形へ変えるのが主な働きです。もし膵臓がうまく働かなくなると、消化不良や下痢などが起こりやすくなり、栄養を十分に吸収できず、体重が減る原因にもなります。

  1. 血糖をコントロールする機能(内分泌機能)

膵臓にはインスリンやグルカゴンといったホルモンを分泌し、血糖値を調整する働きもあります。とくにインスリンは血糖値を下げる重要なホルモンです。膵臓が悪くなるとインスリンの分泌や作用が低下するため、糖尿病を引き起こし、血糖値のコントロールが難しくなります。

膵臓の機能が低下すると、以下のような症状が現れる場合があります。症状の出方は人によって異なりますが、複数の症状が重なる場合には注意が必要です。

消化不良

膵臓が分泌する消化酵素が不足すると、脂質やたんぱく質、炭水化物などを十分に分解できなくなります。結果として、次のような消化不良症状が出やすくなり、栄養の吸収が滞ってしまいます。

  • 腹部の張り
  • 胸やけ
  • 下痢

また、消化しきれない食べ物が長く腸内に留まることで、ガスが溜まりやすくなり、腹痛や不快感を伴うこともあります。

腹痛

膵臓が炎症を起こしたり、腫瘍が発生したりすると、みぞおちのあたりや左上腹部に痛みが生じることがあります。急性膵炎では激しい痛みを伴うことが多く、慢性膵炎では鈍い痛みやチクチクとした痛みが断続的に続きます。背中側にまで痛みが波及するケースもあり、背中の鈍い痛みや刺すような痛みとして感じられることも多いです。

体重減少

膵臓の消化酵素が不足した状態が続くと、食べ物から十分に栄養を摂取できず、体重減少や筋力低下が起こる場合があります。また、食欲不振や腹痛が重なると、一層食事量が減ってしまい、痩せが進むこともあります。膵臓がんによる腫瘍によって食欲が落ち、短期間で急激に体重が落ちるケースもあるため注意が必要です。

黄疸

膵臓がんや膵臓付近の炎症が、胆管を圧迫したり塞いだりすることがあります。その結果、ビリルビン(胆汁成分)の排泄が滞り、次の症状が現れます。

  • 皮膚や白目が黄色くなる
  • 尿の色が濃くなる
  • 便が白っぽくなる

この症状を「黄疸」といい、膵臓がんの進行を示すサインのひとつとして知られています。

糖尿病

膵臓は、血糖値を下げるホルモンである「インスリン」を分泌しています。膵臓の機能が低下すると、インスリンの分泌が十分に行えなくなるため、高血糖の状態が続き、次のような症状が出ることがあります。

  • 喉が異常に渇く
  • トイレが近くなる
  • 疲れやすくなる

これらの症状は、糖尿病のサインである可能性が考えられるため、医療機関で検査を受けるようにしましょう。

皮膚のかゆみ

黄疸が出るような状態では、血液中に胆汁酸が増加し、皮膚への刺激が強まって「かゆみ」をともなうことがあります。また、糖尿病が悪化して血糖コントロールがうまくいかない場合も、皮膚が乾燥しやすくなったり、細菌感染を起こしやすくなったりすることでかゆみを引き起こすケースがあります。皮膚のかゆみが続く場合は、膵臓や肝臓、胆道系の病気も視野に入れて検査をするのがおすすめです。

膵臓の主な病気

膵臓が悪くなる原因はさまざまですが、代表的な病気には次のようなものがあります。

  • 膵臓がん
  • 急性膵炎
  • 慢性膵炎
  • 膵のう胞
  • 膵石症

ここではそれぞれの病気について解説します。

膵臓がん

膵臓の細胞ががん化し、腫瘍を形成する病気です。日本人のがん死亡原因の上位に挙げられ、進行が非常に速いうえに、初期段階ではほとんど自覚症状がありません。そのため、発見が遅れやすいことが特徴のひとつです。

症状としては、腹痛、背中の痛み、黄疸、体重減少、食欲不振などが現れることがありますが、他の病気や体調不良と見分けがつきにくいケースも少なくありません。早期発見が難しい一方、早期発見による治療効果は大きく変わるため、定期的な検査や少しでも気になる症状があれば速やかな受診が望まれます。

急性膵炎

膵臓が急激に炎症を起こす病気で、激しい上腹部痛が特徴です。膵酵素が自分自身の膵臓を消化してしまう“自己消化”が原因となり、重症化すると命に関わることもあります。

原因としては、飲酒や胆石が多く、食事や生活習慣が深く関係しています。急性膵炎は入院治療が必要になることが多く、絶食や点滴を通じて膵臓を休ませ、症状が改善するまで慎重な管理が行われます。

慢性膵炎

膵炎を繰り返すことで、膵臓の機能が少しずつ低下していく病気です。主な原因は長年の飲酒である場合が多く、急性膵炎ほどの激痛ではなくとも、断続的な腹痛や食欲不振、下痢などの症状が続きます。慢性膵炎が進行すると、消化不良や糖尿病などの合併症を引き起こしやすくなります。

一度ダメージを受けた膵臓は完全には元に戻りにくいため、生活習慣の改善や禁酒など、再発予防が重要です。

膵のう胞

膵臓内に液体がたまった袋状の構造物ができる病気です。膵のう胞自体は良性であることが多く、ほとんどの場合で無症状です。しかし、のう胞によっては「がん化のリスク」があるものもあり、定期的な画像検査や血液検査による経過観察が必要になることもあります。急に大きくなるなどの変化が見られた際は、必要に応じて治療を行う場合があります。

膵石症

慢性膵炎が進行するなどで、膵臓の中に石(膵石)ができる病気です。膵石ができると、膵液の流れが妨げられ、さらに膵臓に負担がかかってしまいます。腹痛や吐き気、消化不良などを繰り返すのが特徴です。

石が小さい場合は自然に排出されることもありますが、大きい石や症状が強い場合には外科的治療を検討することがあります。慢性膵炎の原因である飲酒習慣や食生活の見直しが、予防と再発防止につながります。

背中の痛みを感じたら膵臓がんを疑うべき?初期症状の特徴

膵臓がんは早期に自覚できるような症状がほとんどなく、他の疾患との区別もつきにくいため「気づいたときにはすでに進行している」ケースが少なくありません。また、明確なサインがないため「こんな症状が出たら膵臓がんを疑ったほうがいい」と即断しづらく、早期発見が難しい病気といえます。

そのような中でも、少しでも早期発見につなげるための特徴を押さえておくことが大切です。以下では、膵臓がんの初期症状としてよく挙げられる背中の痛みや、痛みの見分け方のポイントを解説します。

中の痛みが出ることが多い

膵臓が炎症や腫瘍によって刺激されると、みぞおちから背中にかけて痛みを感じることがよくあります。特に、膵臓の尾部(左側)にがんができた場合、背中に近いため痛みを感じやすい傾向があります。背中や腰の鈍い痛みが長引く場合は、膵臓を含めた消化器領域の検査を検討してみるのも一つの手段です。

胃や十二指腸など、別の臓器が原因の可能性もある

背中の痛みは膵臓以外にも、胃潰瘍や十二指腸潰瘍、胆石など、さまざまな理由で起こる可能性があります。痛みが長く続いたり、他の症状(黄疸・体重減少など)を伴ったりしている場合は、複数の要因を考慮したうえで専門医に相談することが大切です。

病院で診断された人の多くがステージⅣ

実際に膵臓がんと診断された人の多くは、すでに他の臓器へがんが広がっている「ステージⅣ」の状態だといわれています。これは、膵臓がんの初期症状の乏しさと進行の早さを示しています。背中の痛みや食欲不振、急な体重減少など、少しでも「いつもと違う」体の変化を感じたら、早めに医療機関を受診するようにしましょう。

膵臓がんかもしれないと思ったら?病院受診タイミングの目安

膵臓がんは自学症状がほとんどなく、早期発見が非常に難しい病気です。そのため、気がついたときにはすでに病気が進行している場合があります。

以下のような症状が現れたり、長引いたりした場合には、できるだけ早めに医療機関を受診しましょう。

  • 腹痛
  • 腰背部痛
  • 黄疸
  • 体重減少
  • 食欲不振
  • 早期膨満感

これらの症状に加え、突然糖尿病を発症した場合も、膵臓がんを疑う必要があります。膵臓がんを発症すると、膵臓の働きが低下してインスリン分泌不全が起こりやすくなり、糖尿病を突然発症することがあるためです。今まで血糖値に問題がなかったのに、急に血糖値が上がった場合は、膵臓がんが隠れている可能性を視野に入れましょう。

このような場合、詳しい検査を受けることで、膵臓がんの早期発見につながります。少しでも異変を感じたら、「考えすぎかもしれない…」と自己判断せずに、速やかに専門医を受診することが大切です。早期発見ができれば、治療の選択肢が広がるため、よりよい予後が期待できます。

参考:膵癌診療ガイドライン

まとめ

膵臓は消化酵素の分泌や血糖値のコントロールなど、健康であるために重要な役割を担っています。しかし、膵臓が悪くなっても初期症状がわかりにくいため、膵臓がんや慢性膵炎といった病気が見つかったときには、すでに進行しているケースがあります。さらに膵臓がんは、進行速度が速いことが特徴です。そのため、気になる症状がなくても、定期的に検査を受けることが大切です。

とはいえ、忙しくて検診のための時間が取れないという方も多いのではないでしょうか。近年では、科学技術の進化により、自宅で簡単に使えるがん検査キットも登場しています。その一例が、唾液を使ってがんのリスクを調べるサリバチェッカーです。

サリバチェッカーは、慶應義塾大学先端生命科学研究所の研究成果をもとに開発された検査キットで、唾液中のがん代謝物を超高感度分析装置で測定し、AIを用いて解析することで、がんの可能性を調べます。いくつかのがんに対して高い精度が海外の研究論文で示されています。

ただし、サリバチェッカーだけでがんの診断を確定することはできません。がんのリスクを把握することで、医療機関に相談したり、がん検診を受ける際の参考にしたりすることができ、膵臓がんの早期発見に役立ちます。ぜひ一度、試してみてはいかがでしょうか。

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