がんの早期発見を支える予防医学――内視鏡専門医が考える医療の未来

がんの治療現場に12年以上携わり、多くの患者様やご家族の声を聞いてきた内視鏡専門医がたどり着いた答え。それは、進行がんに至る前の“早期発見”と“予防医学”の重要性でした。なぜがんは早期発見がカギとなるのか?そして、患者様がもっと気軽に健康を守るためにはどんな環境が必要なのか?横浜ベイクォーター内科・消化器内視鏡クリニック横浜駅院様のクリニック開業の背景や、がんのスクリーニング検査「サリバチェッカー」導入について、医師の想いと共に詳しくお伝えします。

目次

父の背中を見て選んだ消化器内科の道

幼少期から育まれた医療への興味

私の父は開業医として消化器内科を専門にしており、小さい頃からその背中を見て育ちました。父は内視鏡検査を行いながら患者様に寄り添い、日々やりがいを感じているようでした。その姿に感化され、自然と医療という職業に興味を持つようになりました。特に、胃カメラや大腸カメラといった内視鏡検査について『面白いよ』『患者さんの役に立てるよ』と語る父の言葉が心に残り、内視鏡はやりがいのある分野だという印象が強く残っていました。

手技を通じて患者様に貢献したい思い

医学部に進学し、さまざまな診療科を研修する中で、私は『手技を伴う診療』への関心が高まりました。特に内視鏡分野では診断や治療を直接行えることで、患者様に具体的な成果を届けられるという手応えを感じました。その中で、自然と父が歩んだ道を自分も選びたいと思うようになり、消化器内科を専門にすることを決めました。

がん患者様やご家族の声が伝える早期発見の大切さ

治療の限界に直面した現場から

消化器内科の分野に12年以上従事する中で、患者様やご家族から寄せられる声で特に多いのが、『どうしてもっと早く気づけなかったのか』『早く発見できていれば完治できたのに』という言葉です。私が以前勤務していた大きな病院では、がんが進行した状態で紹介されてくる患者様がほとんどでした。そのため、抗がん剤治療や化学療法、放射線治療を行っても、完全に治すことができない治療になるケースが非常に多かったです。

患者様を救うための新たなアプローチ

これらの経験を通じて、早期発見と予防医学の重要性を改めて実感しました。治療だけでは限界があるからこそ、いかに患者様が健康状態に気を配り、がんを早期に発見する環境を作れるか。それが私の医師としての使命だと考えています。

開業のきっかけと今後の展望

進行がん治療の現実が生んだ予防医学への注力

進行がんの状態で治療に介入しても治すことが難しいという現実があります。この現実を変えるためには、いかにがんを早期発見して早期治療できるかを考え抜く必要があると感じました。その結果、予防医学に力を入れるクリニックを立ち上げることを決意しました。当院の理念は『患者様がいつまでも家族と笑顔で過ごせる社会』の実現です。100年時代といわれる現代で、健康寿命を延ばすことにフォーカスした医療を提供していきたいと考えています。

地域の皆様に提供する新しい体制

予防医学を通じて、患者様がご自身の健康への意識を持てるようになり、症状がなくても定期的に検査や診療を受けられる体制を整えることを目指しています。この取り組みを地域の皆様に提供し、がんの早期発見・早期治療につなげたいと考えています。

診療環境に配慮した居心地の良いクリニック作り

病院やクリニックは一般的に真っ白でキレイで清潔感があるというイメージがあると思います。一方でそのイメージが意識的に敷居を高くしてしまっていると感じています。当院では患者様が気軽に来院できるよう、グレーを基調とした落ち着きのある空間を目指しました。

また自費、人間ドックでは完全な個室を4部屋準備し、それぞれの部屋にリクライニングソファーとTVを設置してゆっくりくつろいでいただきながら検査の間の待ち時間もリラックスした状態でクリニックの中にいていただけるような環境を整えています。検査後にはドリンクやスープをサービスで提供します。

また、全例鎮静剤を使用し、苦痛の少ない検査を徹底することで、安心して診療を受けられる体制を整えています。

医師として寄せられる相談と病院選びのポイント

多く寄せられるご家族からの相談

がんで亡くなった患者様のご家族から、『どうしておけば治ったのか』『どのようなことに気を付けていればがんを防げたのか』といった相談を多く受けます。これらの相談を通じて、予防医学の重要性を強く感じています。

病院選びで気を付けること

がんの状態やステージによって、選ぶべき病院は異なります。ステージが進行している場合には、がん治療を専門とする大きな病院が適していると思います。一方、消化器内科の領域では、内視鏡検査を専門に行っている医師や消化器病の専門医に診てもらうことが、早期発見につながるため重要です。

サリバチェッカーと予防医療の可能性

非侵襲的かつ網羅的な検査の特長

サリバチェッカーは、だ液を用いて全身のがんリスクを網羅的に評価できる画期的な検査です。従来の腫瘍マーカー検査が特定のがんに限定されるのに対し、幅広い領域でのリスクを把握できる点が特長です。さらに、採血のような痛みがなく、患者様にとって負担が少ない点が非常に魅力的です。
サリバチェッカーを含め、自費領域の検査は早期がんにフォーカスを置いた検査という位置づけと考えてもらうと良いと思います。もちろん進行がんを見つけることも重要なので、健診を受けることも重要ですが、一方で無症状の段階での早期のがんを拾い上げる立ち位置としてサリバチェッカーの有用性があると私は考えています。

働き世代への大きな期待

忙しい日々を送る働き世代の方々が、無症状の段階でがんリスクを知り、早期治療を始めるきっかけになることを期待しています。
将来的にはさらに精度を高め、より多くの方に利用いただける検査になってほしいと願っています。

当院からのメッセージ

症状がないときこそ行動を

がんが進行して発見された患者様の95%、ほぼ100%が『もっと早く気づいていれば』と後悔されています。しかし、症状がないときは『自分は大丈夫』と考えがちで、これが結果的にがんの進行を許してしまう原因、一種の過信であることも多いです。

定期的なセルフチェックを習慣に

ご自身の体のチェックやメンテナンスを、車の車検のように定期的に行うことが重要です。健診や人間ドックだけでは不十分な部分もありますので、サリバチェッカーのようなスクリーニング検査を併用し、無症状のうちにがんリスクを把握することをおすすめします。

  • URLをコピーしました!
目次