PET検査の費用はいくら?保険適用される?検査内容や受けるメリットを解説

健康診断や検査を受ける際、「がんの早期発見が大切」と聞いたことがある方も多いでしょう。しかし、実際にどの検査を受けるべきか迷ったり、費用や保険適用の条件がわからなかったりして、不安に感じる方も少なくありません。特に「PET検査」という言葉を耳にしたことはあっても、どのような検査で何がわかるのか、具体的なイメージがつかないという方も多いのではないでしょうか。

そのような悩みを解消するため、本記事ではPET検査について詳しく解説します。費用や保険適用の条件、検査のメリット・デメリットについてわかりやすくご紹介するので、検査を検討している方の参考になるはずです。PET検査を受けるべきか、どのように活用すればよいか迷っている方は、ぜひ参考にしてください。

目次

PET検査とは?何がわかるの?

PET検査とは、「Positron Emission Tomography:陽電子放出断層撮影」の略称で、がんの有無や転移状態を調べたり、治療の効果を評価したり、治療後の再発を確認したりするために行われる精密な画像診断検査です。

「FDG(放射性フッ素を付加したブドウ糖)」という薬剤を静脈から注射し、体内でのブドウ糖の分布を画像化します。がん細胞は通常の細胞より多くのブドウ糖を取り込むため、画像上で集中的に薬剤が集まった部位にがんの可能性が高いと判断されます。

PET検査の大きな特徴は、一度の検査で全身を調べられる点です。さらに、がんの有無だけでなく、がん細胞の活動状況や、腫瘍の広がり、位置なども把握できます。また、PET検査は、CTやMRIと組み合わせて行う「PET-CT」「PET-MRI」検査ではPETとCTやMRIの画像を重ねることで診断精度がさらに向上します。

特に、頭頸部がん・悪性リンパ腫・悪性黒色腫・肺がん・乳がん・大腸がん・膵臓がんなど、多くのがんで有用とされています。このように、PET検査はがんの診断や治療計画において重要な役割を果たす先進的な検査です。

PET検査の方法

PET検査当日は、血糖値の影響を最小限に抑えるために、検査の5~6時間前から飲食を控えます。特に糖分を含む飲料や食品は避け、可能なのは水分補給のみです。また検査直前に排尿し、膀胱内の薬剤を出してから検査を行います。

PET検査を受けるときの流れは以下の通りです。

  1. 薬剤を注射して待機する

検査室でFDGを静脈に注射した後、薬剤が細胞に取り込まれるのを待つために、1時間程度安静にします。この間、余計な体の動きや会話を避けることで、検査結果の精度を高めます。

  1. 撮影を行う

FDGが細胞に取り込まれた後、専用の装置で撮影を行います。撮影中は寝台の上に仰向けに横たわり、動かないようにします。撮影時間は約20~40分程度です。がんが確認しにくい場合には、さらに時間を置いて追加撮影を行うこともあります。撮影中の痛みや不快感はほとんどありません。

  1. 検査後の処置を受ける

撮影終了後、体内に残った薬剤を排出するために、水分を多めに摂取して排尿を促します。その後は普段通りの日常生活をおくれます。

より詳しい手順については、検査を受ける医療機関で確認することをおすすめします。

PET検査の費用相場

PET検査は高度な医療機器を使用するため、一般的な健康診断や検査と比べて費用が高い傾向です。費用は、検査を受ける施設や保険の適用の有無によって異なります。

ここでは、保険適用の場合と保険適用外の場合の費用について詳しく解説します。

保険適用のケース

PET検査が保険適用になるのは、医師が医学的に必要と判断した場合です。たとえば、がんの診断や治療効果の確認が目的の場合、保険適用の対象になります。ただし、一般的な健康診断目的でのPET検査は保険適用外となるため注意が必要です。

保険適用の場合、費用は3割負担で受けられ、自己負担額は約2万円~5万円程度が相場です。初診料や画像診断の読影料などが加わるため、検査を受ける医療機関や検査内容によって異なります。

高齢者の場合は、保険適用の割合が異なります。

  • 1割負担:約1万円~2万円
  • 2割負担:約1万5千円~3万円

保険が適用されることで費用の負担が軽減されるため、検査を検討している場合は、保険適用条件について医師に相談することをおすすめします。

保険適用外のケース

健康診断目的や希望して受ける場合など、医療上の必要性が認められない場合には保険が適用されません。この場合、検査費用は全額自己負担となり、相場は約10万円~20万円程度と高額になります。施設により、がんのリスクを総合的にチェックするパッケージとして提供されている場合もあります。

健康診断や人間ドックとしてPET検査を受ける場合は、事前に内容と費用を十分確認することが重要です。

PET検査は受けるべき?受診するメリット

PET検査には、他の検査にはないさまざまな良い点があります。ここでは、PET検査を受けることで得られる主なメリットを、できるだけわかりやすく説明します。

小さながんを発見できる

PET検査では、がん細胞が活発にブドウ糖を取り込む性質を利用して、体内に潜む小さながんを発見できます。他の画像検査では見逃しやすい小さながんでも、PET検査なら早期に発見できることもあります。これは、放射性薬剤ががん細胞に集まりやすく、画像でその部分がわかりやすく映るためです。

腫瘍の悪性・良性を判断できる

PET検査では、腫瘍の良性・悪性をある程度まで判断が可能です。悪性の腫瘍は良性の腫瘍に比べて代謝が活発なため、放射性薬剤の集まり方に違いが出ます。この特性により、手術の必要性の有無や、どのような治療計画が最適かを決めるのに役立ちます。

一度に全身を検査できる

PET検査の一番の特徴は、一度の検査で体全体を調べられることです。がんの転移が疑われる場合や、複数の部位に病気があると予測されるときに力を発揮します。全身のスキャンを短時間で行えるため、患者さんの負担を軽減しながら包括的な診断が可能です。

効率的に受診できる

PET検査は、準備や待ち時間を含めても数時間で終わります。撮影そのものも20〜40分程度です。一度に全身を調べられるため、複数の検査を受けるよりも効率的です。そのため、複数回来院できない忙しい方でも、無理なく受けることができます。

痛みや不快感がない

PET検査は、検査中に痛みや不快感がほとんどありません。注射がある以外は、特別な処置はなく、撮影中はただ横になっているだけです。そのため痛い検査が苦手な方や、体に負担をかけたくない方でも安心して受けられます。

PET検査を受けるデメリット

PET検査には多くのメリットがありますが、注意が必要なデメリットもあります。ここでは、主なデメリットについて、わかりやすく説明します。

がんの種類によっては見つけにくい

PET検査では、がん細胞が活発にブドウ糖を取り込む性質を利用して、病気を見つけます。しかし、特定のがんは代謝が低く取り込む量が少ないため、見つけにくい場合があります。

例えば前立腺がんや一部の肺がんでは、薬剤が集まりにくく検査で見落とすこともあるため注意が必要です。そのため、PET検査だけでなく、CTやMRI、血液検査などを組み合わせて診断することが大切になります。

検査にかかる料金が高い

PET検査は高度な技術を使うため、検査費用が高くなることがあります。保険が適用される場合でも数万円、保険が使えない場合は10万円以上かかることが一般的です。

特に、健康診断のように自分の希望で検査を受ける場合は、全額自己負担になるので、費用を事前に確認することが必要です。このため、費用が理由で受診を迷う人もいます。

受診できる施設が限られている

PET検査を行える医療機関は限られており、特に地方では検査を受けられる施設が少ないのが現状です。そのため、検査を希望する場合、遠方まで足を運ぶケースもでてきます。これは、受診する機会を減らしてしまい、早期発見が難しくなる可能性もあります。

偽陽性・偽陰性となる可能性がある

PET検査は非常に感度の高い検査ですが、誤った結果がでる場合もあります。偽陽性(がんではないのにがんと判定される)や偽陰性(がんがあるのに見逃される)の可能性があるため、注意が必要です。

例えば炎症や感染症がある場合、薬剤が集まりやすく、がんと間違われることがあります。一方で、がんの種類や場所によっては薬剤が集まりにくく、見逃されることもあります。このため、検査結果は専門医による慎重な解釈が必要です。

被ばくのリスクがある

PET検査では、放射性薬剤を使うため、少量の放射線を浴びる(被ばく)ことがあります。具体的には、PET検査では約3.5mSv、PET/CT検査の場合は8.5mSv~17.5mSv程度の被ばくがあるとされています。しかしこの程度の放射線量では、急性の放射線障害が起こる可能性はほとんどありません。また、将来がんが発生するリスクについても、極めて低いと考えられています。

ただし、妊娠中の方や被ばくへの不安がある方は、事前に医師に相談することが大切です。検査の必要性とリスクをしっかりと比較し、安心して受けられるよう準備しましょう。

まとめ

PET検査は、がんの早期発見や診断において非常に有用な方法です。一度の検査で全身を調べられることや、腫瘍の悪性・良性を判断できる精度の高さ、痛みや不快感が少ないといった多くのメリットがあります。一方で、費用の高さや保険適用条件、受診できる施設の限られた状況、偽陽性や偽陰性の可能性、放射線被ばくのリスクも考慮する必要があります。PET検査を検討する際は、これらのメリットとデメリットを理解し、医師と相談のうえ、自分にとって適切な選択をすることが重要です。

最近では、自宅で手軽にがんのリスクを調べられる検査キットも登場しています。その一つが、唾液を使ったサリバチェッカーです。慶應義塾大学先端生命科学研究所の研究成果をもとに開発されたこの検査キットは、唾液中のがん代謝物を超高感度分析装置で測定し、AI解析を用いてがんリスクを評価します。一部のがんについては高い精度が報告されており、自宅で健康状態をチェックするのに役立ちます。

ただし、サリバチェッカーはがんを確実に診断するものではなく、あくまで「リスクを知るための道具」です。リスクの高い結果がでた場合は、病院での詳しい検査やがん検診を受けることで、早期発見や適切な対応につなげられます。

がんの早期発見や予防を目指すなら、まずはサリバチェッカーのような簡単な検査を活用してみてはいかがでしょうか。自宅でできる検査と、病院での検査をうまく組み合わせることで、より安心できる健康管理を目指せます。

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