自身の胸にしこりを発見したり、乳がんに関する情報を聞いたりして「乳がんの初期症状が知りたい」や「乳がんになったら手遅れなのか」と不安になっていませんか?
「がん」と言うと亡くなっている方も多い病気のイメージがありますし、乳がんは他人に相談しづらく不安を抱えてしまいますよね。この記事では乳がんの初期症状や原因、生存率やセルフチェックの方法についてわかりやすく解説しています。
この記事を読み終えたら、乳がんの初期症状やリスク要因を理解し、予防・早期発見のための具体的な行動をできるようになっているでしょう。
特にセルフチェックの方法に関しては細かく具体的に解説しているのでぜひ参考にしてみてください。
乳がんとは
乳がんとは、乳房の乳腺にできる悪性腫瘍(がん)の一種です。乳房には、母乳を分泌するための「小葉」という器官と小葉と乳首をつなぐ「乳管」という器官があります。乳がんは、乳管や小葉に生じます。
乳がんの約90%以上は乳管がんと呼ばれる乳管に由来するもので、約5~10%は小葉がんという小葉から発生するものです。乳がんが発生しやすい部位として、乳房の上部でわきの下に近い部分が全体の約50%を占めています。
乳がんは45~79歳の女性に特に多いです。
出典:日本医師会|乳がん検診
乳がん患者は近年増加している
乳がん患者の数は、ここ数年で大幅に増えています。
そこで、以下の内容について不安に思う方も多いでしょう。
- 乳がんが増えている理由
- 乳がんの罹患率
- 乳がんの死亡率
それぞれ説明します。
H3.乳がんが増えている理由
乳がん患者が増加している主な理由は以下のとおりです。
- 高齢化が進んでいる
- ライフスタイルが変化している
- 初産の高齢化
- 早期診断の普及により、実際の罹患率以上に上昇しているように見える
高齢化が進むことで、乳がんを含むがんの発症リスクが高まります。特に中高年以降の女性において乳がんの罹患率が急上昇します。
食生活の欧米化や運動不足といったライフスタイルの近代化に伴ってがんの発症リスクも増加しました。女性の社会進出が進むことにより初産も高齢化しました。高齢初産の場合、若い時期に出産するのと比べて乳がんになるリスクであるエストロゲンという女性ホルモンが上昇しやすいです。
検診の普及により乳がんが早期に発見されるケースが増えたというのも乳がん患者が増加している理由でしょう。
乳がんの罹患率
乳がんの罹患率は年々増加しており、2023年のデータによると女性の9人に1人が乳がんを発症するとされています。特に、40~60代の閉経期前後の女性に多く見られ、発症のピークは40代後半と60代に集中しています。
毎年約4万人の女性が新たに乳がんと診断されており、40代女性のがん罹患率では、胃がんを上回り乳がんが最も多いという現状です。
参考:国立がん研究センターがん情報サービス「がん種別統計情報」
乳がんの死亡数
結論として、乳がんの死亡率は高くありません。5年生存率は90%と良好であり、早期発見・早期治療が大事です。
2022年の部位別がん死亡数データを見ると、乳がんによる死亡は女性で15,912人、男性で109人となっています。このデータから、明らかに乳がんは男性より女性の死亡率が非常に高いがんであることを示しています。
そのため女性は定期的に乳がんの検診を受けるのがおすすめです。
参考:国立がん研究センターがん情報サービス「がん種別統計情報」
乳がんの主な原因
乳がんの主な原因は以下のとおりです。
- 女性ホルモンの一種であるエストロゲンの分泌が関係している
- 生活習慣の乱れ
- 家族歴・既往歴
乳がんの主な原因の1つにエストロゲンがあります。エストロゲンとは、卵巣で作られる女性ホルモンの一種で、生殖機能の調節や骨密度の維持など重要な役割を果たしています。
しかし、エストロゲンは乳がんの原因でもあり、以下の方はエストロゲンの高い期間が長いため乳がんになりやすいです。
- 初経が早い・閉経が遅い
- 出産歴がない
- 初産年齢が遅い
- 授乳歴がない
- 長期間エストロゲン・プロゲステロン併用療法を行ったことがある
乳がんに関わらず現代的な食生活はがんになる可能性を高めてしまいます。飲酒・喫煙や肥満など、生活習慣が乱れるとがんの発症リスクが高くなってしまうので食物繊維を摂る、運動するなど健康的な生活をおくりましょう。
家族歴・既往歴も乳がんの原因の1つです。家族に乳がん患者がいた場合、遺伝的なリスクがあるかもしれません。他にも、良性の乳腺疾患、糖尿病などの既往歴や放射線の被ばく歴があると乳がんになる可能性が高まります。
乳がんの初期症状
初期の乳がんは自覚しにくいので、自覚症状が出てきたころには進行している可能性もあります。乳がんの初期症状は以下のとおりです。
- 乳房にしこりがある
- へこみや皮膚の変色など見た目が変化する
- 乳頭(乳首)から分泌物が出る
- ただれ・びらん・湿疹などができる
それぞれ説明します。
乳房にしこりがある
乳房にしこりがあるのは乳がんの代表的な症状です。乳がんのしこりは少し硬く、触ってもあまり動きません。良性腫瘍の場合、弾力があり触ると動くという特徴があります。
しかし自身で判断するのは難しいので、しこりに気づいたらかかりつけの婦人科医に相談しましょう。
へこみや皮膚の変色など見た目が変化する
乳がんが進行すると皮膚が引っ張られ、乳頭(乳首)や乳房の一部がくぼんで見えます。
くぼみもわかりやすいですが、色が変わるケースもあり見た目から判断しやすいです。炎症性の乳がんの場合、リンパ管が詰まってしまい乳房全体に炎症が起きて、全体的に赤くなり浮腫みます。
乳頭(乳首)から分泌物が出る
乳がんの特徴的な症状として、乳頭から血のような液体が分泌されます。健康体では通常、血のような分泌物は出ません。血のような液体が出たら乳がんを疑い、病院を受診しましょう。
血のような分泌物は乳がんの他に乳腺症、乳管内乳頭腫という病気でも見られます。
ただれ・びらん・湿疹などができる
乳がんは非浸潤がん、浸潤がん、Paget病の3つに分類できます。その内、Paget病というタイプの特徴は以下のとおりです。
- ただれ・びらん・湿疹・かさぶたができる
- 乳頭や乳輪の発赤
- 乳頭消失
- しこりはない
わかりやすい見た目をしているので症状に気づいたら乳がんを疑いましょう。
手遅れの可能性がある?末期症状の特徴
末期の乳がんは、「治癒を目指したが治療に反応せず、進行性かつ治癒困難又は治癒不能と考えられる状態」を指します。乳がんは早期の段階から転移しやすいという性質を持つため、自覚症状が現れた時点ですでにがん細胞が他の臓器へ転移し末期に至っているケースも少なくありません。
主な末期症状は以下のとおりです。
- 耐え難い痛み
- 疲労感や倦怠感、発熱
- 転移先の臓器の機能不全による症状
乳がんはリンパ管や血管へ広がりやすくリンパ節に転移すると、わきの下や胸に耐えがたい痛みを感じます。がん細胞は通常の細胞より多く栄養素を消費する以外にも、炎症性物質を放出することから疲労感、倦怠感や発熱を引き起こします。
乳がんは以下の臓器に転移しやすいです。
- 乳房付近のリンパ節
- 手術後の乳房(再発)
- 脳
- 肺
- 皮膚・胸壁
- 肝臓
- 骨
肝臓に転移すれば肝不全になり、脳に転移すれば脳腫瘍、脳障害を引き起こします。骨に転移したら強い痛みを感じるでしょう。転移した先の臓器が障害されて様々な症状が出ます。
乳房以外に転移があるとステージ4と判定され、5年生存率が38.7%と低くなってしまいます。ステージ3であれば5年生存率が80.7%と高いので、早期発見・早期治療が重要です。
乳がんの主なリスク要因とは?セルフチェックをしてみよう
乳がんのリスクを高める要因を知ることで、早期の予防や発見に繋げられます。乳がんの主なリスク因子は以下のとおりです。
初経(初潮)年齢が早い | ✔️ |
閉経年齢が遅い | ✔️ |
初産が30代以上 | ✔️ |
出産授乳経験がない・少ない | ✔️ |
女性ホルモン補充療法をしたことがある | ✔️ |
飲酒 | ✔️ |
喫煙 | ✔️ |
肥満 | ✔️ |
放射線に暴露した | ✔️ |
乳がんの家族歴がある | ✔️ |
糖尿病の既往歴がある | ✔️ |
一般的な初経・閉経の平均年齢はそれぞれ、初経が12歳、閉経が50歳です。リスク要因に多くあてはまる場合はセルフチェックを定期的に行うのがよいでしょう。
セルフチェックを行うタイミングとしては、月経終了後1週間以内の乳房の緊張や腫れがなくなったときに行うのがよいです。すでに閉経している場合は月に1回、自己検診日を設定しましょう。
具体的なセルフチェックの方法は以下の3ステップで行えます。
- 見る
- 触る
- しぼる
- 「見る」のパートでは、まず鏡を見ながら両手に腰に手を当ててください。その後、前かがみになったり胸をはったりして乳房を観察しましょう。
以下の観点に注目してください。
- 左右の形の違い
- ひきつれ
- くぼみ
- 「触る」のパートではしこりがあるかチェックします。まず立った状態や椅子に座った状態で胸を張ってください。右手の3,4本の指を左胸に当てましょう。指の腹で「の」の字を書くように外側から乳頭(乳首)へ渦巻き状に動かしてください。終わったら逆側も忘れないで行いましょう。
- 「しぼる」のパートでは乳頭(乳首)をつまんで軽くしぼってください。その際に血のような分泌物が出ないかチェックしましょう。
もしセルフチェックにて異常があった場合は必ず病院へ検査を受けにいきましょう。
乳がんの主な検査方法
乳がんの主な検査方法は以下のとおりです。
- 視・触診
- マンモグラフィ
- 超音波検査
これらの検査では腫瘍の位置、腫瘍の大きさ、数、リンパ節転移の有無をチェックします。それぞれ説明します。
視・触診
視診では、以下の症状がないかチェックします。
- 乳頭陥凹
- 皮膚陥凹
- 血性分泌物の有無
- 皮膚発赤
触診では患者を仰向けか座らせて、乳房やわきのリンパ節にしこりがないか確認します。月経前は浮腫みにより触診が難しいので月経数日後に行うことが多いです。
マンモグラフィ
マンモグラフィとは、乳房専用のX線撮影装置を使用して、乳房内部を撮影する検査方法のことです。X線画像を撮影後、医師が乳がんの可能性を判定します。
超音波検査
超音波検査はエコーの機器にゼリーを塗って肌に密着させ調べる検査です。超音波検査では腫瘤が良性・悪性のどちらか判断でき、わきのリンパ節に転移があるかどうかも調べられます。しこりの中身がわかり30歳以下で有効とされています。
まとめ
乳がんは早期発見・早期治療で治るかもしれないがんです。初期段階で発見すれば5年生存率が90%と高く、早期発見が非常に重要です。
乳がんは特に40代後半と60代の女性に多い病気で、硬いしこり、皮膚のへこみや色の変化、乳頭からの血性分泌物などがあったら乳がんを疑いましょう。末期になると強い痛みや転移先の臓器の機能不全などの症状が出て5年生存率が38.7%と低下してしまいます。
乳がんは進行すると治療が難しくなるため、定期的なセルフチェックと専門医による検診を忘れずに行いましょう。自身が乳がんなのかどうか不安な場合は、弊社が提供しているサリバチェッカーがおすすめです。だ液1滴採取するのみで以下のがんのリスクを同時に評価できます。
- 肺がん
- 大腸がん
- 膵臓がん
- 乳がん
- 胃がん
- 口腔がん
乳がんに対して不安を抱いている方はぜひ利用を検討してみてください。