大腸がんの症状|初期症状や気づいたきっかけ、主な原因を解説

近年、日本の大腸がんは増え続けています。大腸がんは、2018年に新たに診断されたがんの中で最も多く、年間15万人以上がかかっているとされています。また、2019年には1年間で5万人以上がこの病気で亡くなりました。(出典:大腸がん研究会患者さんのための大腸がん治療ガイドライン 2022年版の刊行にあたって

大腸がんは早期に発見されれば治る可能性が高い病気ですが、初期の段階では症状を自覚しにくいことが特徴です。そのため、「気づいたときには進行していた」というケースも少なくありません。

定期的に検査を受けることが大切ですが、忙しさや体調の問題など、なかなか検査を受けられない方もいらっしゃるのではないでしょうか。本記事では、大腸がんを早期に発見するためのヒントとして、リスクや初期症状、気をつけたいポイントについてわかりやすくお伝えします。

目次

大腸がん(結腸がん・直腸がん)の代表的な症状

大腸は、全長約1.5〜2mほどある管状の臓器です。役割としては、腸に送られてきた食べ物の消化物から水分を吸収し、便を作り、肛門から排泄するという重要な働きを担っています。

大腸は、大きく2つの部分に分けられます。一つは結腸で、盲腸、上行結腸、横行結腸、下行結腸、S状結腸などからなります。もう一つは直腸で、S状結腸に続く上部直腸と、肛門に近い下部直腸があります。

出典:国立がん研究センター中央病院|大腸がんの症状について

大腸がんは、内側にある粘膜で発生します。がんが進行すると、以下のような症状が現れることがあります。これらの症状は、がんができた場所によって異なる場合があるので注意が必要です。

出典:国立がん研究センター中央病院|大腸がんの症状について

急な便秘や下痢が続くのは大腸がんの初期症状?

「大腸がんになるとおならが多くなる」という情報を目にすることがあります。しかし、大腸癌研究会が発刊している『患者さんのための大腸癌治療ガイドライン』では、そのような記載はありません。むしろ、大腸がんが進行して腸が閉塞すると、おならが出にくくなる場合があるとされています。

また、「下痢や便秘を繰り返すようになる」という症状も、大腸がんに限らず、過敏性大腸炎や他の病気でも見られることが多いです。そのため、こうした症状だけで大腸がんかどうかを判断するのは難しいと言えるでしょう。

気になる症状がある場合は、無理に自己判断せず、早めに医療機関で検査を受けることをおすすめします。

大腸がんに気がつくきっかけは?セルフチェックで当てはまったら要注意!

大腸がんは、初期段階で発見できれば治療の効果が高く、予後の良いがんと言われています。しかし、早期では自覚症状がほとんどなく、気づきにくい病気です。そのため、定期的な検査が推奨されますが、普段の生活の中で気をつけるべきポイントもあります。

例えば、以下のような症状がある場合は注意が必要です。

  • 排便習慣の変化(便秘や下痢が続く、便が細くなるなど)
  • 血便や便に混じる血液
  • 原因不明の体重減少
  • お腹の張りや違和感
  • 家族に大腸がんの既往歴がある

上記の症状が当てはまるか、セルフチェックをすると良いでしょう。複数の項目が当てはまる場合は、早めに医療機関を受診してください。

排便習慣に変化があった

大腸がんになると、がんによって腸が狭くなるため、便が細くなったり便秘になったりします。また、大腸の水分を吸収する機能が低下すると、下痢が起こる場合もあります。腸の内部は常に同じ状態ではないため何かの拍子で、便秘と下痢を繰り返すことも珍しくありません。

長期間便が腸内に留まると、水分が吸収されて硬くなり、コロコロとした便になることがあります。また、排便後に「残便感」があるのも大腸がんの症状の一つです。

血便が出る

血便は、大腸がんからの出血で便に血液が混ざることで起こります。血便の色は、がんのある場所によって変わるのが特徴です。

肛門に遠い場所(右側結腸)では、便が大腸内を移動する間に酸化などで黒っぽくなり、肛門に近い場所(左側結腸と直腸)では血液の色が出て赤くなります。赤い便は痔だと思い込んで放置されやすいので注意が必要です。

急激に痩せる

がんになると今までと同じように食べたり、運動したりしても体重が増えず、どんどん筋肉が落ちて痩せてしまうことがあります。

主な原因は、がん細胞から分泌される「炎症性サイトカイン」というタンパク質です。この物質が脳に作用すると食欲が低下し、脂肪や筋肉を分解させることで体重が減少します。

胃痛が続く・お腹が張る

大腸がんによる痛みは、がんが腸の通り道を妨げられることで起こることが多いです。この痛みは、腸の動きに合わせて現れたり治まったりを繰り返すのが特徴です。

さらに、がんが大きくなると腸が狭くなり、お腹の張りや違和感を覚えることがあります。放置しておくと腸が完全に詰まり、腸閉塞になる可能性もあるため注意しましょう。

貧血が続く

大腸がんが進行すると、がんからの慢性的な出血が原因で貧血が起こることがあります。この場合、めまいや疲れやすさなどの症状が続くのが特徴です。さらに、がんの影響で食欲が落ちて十分な栄養が摂れなくなることも、貧血の原因となることがあります。

大腸がんの主な原因

大腸がんの主な原因として、食生活の欧米化・喫煙・アルコールの過剰摂取・運動不足・肥満、そして遺伝の関与が明らかになっています。

食生活の欧米化

大腸がんの増加には、生活習慣の欧米化が大きく影響していると考えられています。特に高脂肪・低繊維の食事はリスクを高めるとされており、動物性脂肪や赤肉の摂取がその代表例です。

一方で、野菜や果物に含まれる食物繊維やビタミンC、カロテノイド、葉酸などには、がんを抑える働きがあると考えられています。野菜や果物を積極的に摂取することで、大腸がんのリスクを減らす可能性があるため、バランスの良い食生活が大切です。

喫煙

たばこの煙には多くの発がん性物質が含まれており、大腸の粘膜にも影響を与えることがわかっています。

ある調査によれば、喫煙者は非喫煙者に比べ、大腸がんのリスクが約1.4倍高くなるという結果が報告されています。たばこは大腸がんのほかにも多くの健康リスクを伴うため、禁煙を検討することが重要です。

出典:国立がん研究センター|お酒・たばこと大腸がんの関連について

アルコールの過剰摂取

アルコールは体内で分解されるとアセトアルデヒドという物質に変わり、この物質ががんの発生に関わるとされています。研究では、1日23g以上のアルコールを摂取する人は、それ以下の人に比べて大腸がんのリスクが高まることが示されています。

アルコール23gの目安
ビール大瓶1本(633ml)
日本酒1合(180ml)
焼酎25度(120ml)
ワイングラス2杯(200ml)
ウイスキーダブル1杯(60ml)

出典:国立がん研究センター|飲酒と大腸がんリスク

適量を守ることがリスクを抑えるポイントです。

運動不足

運動不足は大腸がんのなかでも、特に結腸がんのリスクを高めるとされています。

運動をしないと腸の動きが低下し、便が腸内に留まる時間が長くなり、その間に発がん性物質にさらされるリスクが増えるためです。定期的な運動は腸の健康を保つだけでなく、全身の健康にも役立ちます。

肥満

肥満は大腸がんのリスクを高める要因の一つです。肥満がインスリンやインスリン様成長因子(IGF-I)の分泌を増やし、これらががんの発生に関与していると考えられています。

また、肥満指数(BMI)と大腸がんの発生率には有意な関係があることが、研究で示されています。適正体重を維持することが大腸がん予防には大切です。

遺伝

大腸がんの多くは生活習慣や遺伝子の変化によって発生しますが、約5%は「遺伝性大腸がん」と呼ばれる遺伝子異常が原因です。

リンチ症候群や家族性大腸腺腫症などがその代表で、これらの疾患がある場合、大腸がんのリスクが高くなります。家族に大腸がんの既往がある場合は、定期的な検査が重要です。

大腸がんの早期発見には検査キットがおすすめ

大腸がんを早期に発見するためには、定期的ながん検診が重要です。しかし、忙しい日々の中で検診に行く時間が取れない方もいるかもしれません。そんな方におすすめなのが、自宅で手軽にリスクを確認できる検査キットです。

サリバチェッカーは、だ液中に含まれるがんの代謝物を超高感度の分析装置で測定し、AIを活用して解析する検査キットです。この技術は、慶應義塾大学先端生命科学研究所の研究成果を基に開発されました。

この検査キットでは、がんそのものを診断することはできませんが、大腸がんを含む複数のがんリスクを調べることができます。特に大腸がんのように初期症状が出にくい病気では、このようなキットを活用することで、早めに医療機関へ相談したり、がん検診を受けたりするきっかけを作れます。

まとめ

大腸がんは、早期に発見できれば治療の効果が高いがんです。しかし、初期症状がわかりにくいため、普段から注意深く健康を観察することが大切です。

この記事では、大腸がんの症状や原因、予防方法について詳しくご紹介しました。これらの情報を参考に、少しでも気になる症状があれば、医療機関での検査やがん検診を受けるようにしましょう。

また、忙しくて検診に行けない方は、自宅でリスクをチェックできる「サリバチェッカー」などの検査キットを試してみるのも一つの方法です。早期発見は、治療の選択肢を増やす大切なステップです。まずはできることから始めてみませんか?

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