「口の中にしこりのようなものができている、口内炎がずっと治らない」このような症状から「口腔がんかもしれない」と不安な方もいるのではないでしょうか。
口腔がんの発症頻度は全がんの1%とそれほど高くはありませんが、罹患率、死亡率ともに年々増加傾向にあります。油断して口腔がんを放置すると手遅れになってしまうかもしれません。
本記事では、口腔がんの原因や症状などについて詳しく解説します。さらに、早期発見のための検査方法についてもお伝えしますので、症状に心当たりがある方はぜひ参考にしてください。
口腔がんとは
口腔がんとは口腔内にある舌や歯肉、頬粘膜、口蓋、唇などに発生するがん(悪性腫瘍)の総称です。口腔内は味覚を感じたり、食物を飲み込んだり、発声したりなどの重要な機能を備えています。口腔がんが進行すると、痛みや違和感に加え、味覚障害、咀嚼障害、発音障害など日常生活に大きな支障をきたしかねません。
口腔内の歯を除いた表面部分は、扁平上皮からできる粘膜で覆われています。そのため、組織型分類でみると、口腔がんの大部分は扁平上皮がんです。
※扁平上皮がん…扁平上皮は体の表面や食道など、内部が空洞になっている臓器の内側の粘膜組織を指します。この扁平上皮に発生するがんが「扁平上皮がん」で、口腔内、舌、のど、食道、気管、肺、肛門、外陰部、腟、子宮頸部などに発生するのが特徴です。
我が国において、口腔がんは男性に多く、発症頻度は女性の2倍、60〜70代に多いのが特徴です。発生頻度はがん全体の約1%とそれほど高くなく、患部を直接見られるので比較的早期発見しやすいがんといえるでしょう。
口腔がんは発生する場所によって以下に分類されます。
- 舌がん
- 歯肉がん
- 口腔底がん
- 硬口蓋がん
- 頬粘膜がん
- 口唇がん
主な口腔がんの特徴は、以下のとおりです。
口腔がんの種類 | 特徴 |
舌がん | 口腔がん全体の54.2%を占める舌の側面や裏側にできるのが大部分粘膜の表面に以下のような症状がみられる赤くなる白くなる凸凹や潰瘍ができる |
歯肉がん | 口腔がん全体の23.6%を占める(上歯肉がん 9.1%、下歯肉がん 14.5%)上下の歯肉に発生し、粘膜に症状が出る歯ぐきの裏側にできる場合もあり、歯がぐらついたり、腫れたりする |
口腔底がん | 口腔がん全体の8.9%を占める口腔底(下あごの歯ぐきと舌に囲まれた部分)にできる |
硬口蓋がん | 口腔がん全体の3.0%を占める上あごの天井部分にできる傷つけた覚えがないのに症状が現れるのが特徴 |
頬粘膜がん | 口腔がん全体の9.0%を占める頬の内側粘膜にできる噛んだり、傷をつけたりした覚えがないのに症状が現れるのが特徴触れると粘膜の下に固まりや厚みがある |
口腔がんの主な原因
口腔がんの原因はまだ解明されていない点も多いですが、主に以下の要因が関係しているとされています。
- 喫煙
- 飲酒
- 慢性的な刺激
それぞれ説明します。
喫煙
口腔がんの最大危険因子は喫煙です。たばこの煙には多くの発がん性物質が含まれています。喫煙によって発がんリスクが高まるのは他のがんだけでなく、口腔がんにおいても例外ではありません。
国立がん研究センターによると、非喫煙者と比べて、喫煙者(1日喫煙箱数×喫煙年数が60以上)では罹患リスクが5.2倍となると報告されています。
参考:国立研究開発法人 国立がん研究センター|口腔がんの原因・症状について
飲酒
飲酒は喫煙に次ぐ口腔がんの危険因子です。飲酒者(1日平均2合以上)の口腔がん罹患リスクは、非飲酒者と比べて3.8倍になるとされています。
また、飲酒時の喫煙はリスクがより高まるとされており注意が必要です。日本人を対象にした報告では、飲酒量が少なく喫煙なしの人と比べて、飲酒量が多く喫煙する人の口腔がんの罹患リスクは4.1倍とされています。
参考:国立研究開発法人 国立がん研究センター|口腔がんの原因・症状について
飲酒時の喫煙は、たばこに含まれている発がん性物質がアルコールに溶けて口腔粘膜に作用するのが要因の一つです。
慢性的な刺激
口腔内の慢性的な刺激も口腔がんの原因になります。歯磨きがおろそかになったり、口の中が乾燥したりする口腔内の不衛生も口腔がんの原因です。
また、合わない入れ歯や虫歯、詰め物や被せ物のトラブルなどによる慢性的な刺激も口腔がんのリスクを高めます。
口腔がんの主な症状
口腔がんになると、主に以下の症状が現れます。
- 口の中の痛みや出血
- 歯ぐきの腫れや出血
- 原因不明の歯のぐらつき
- 舌のしびれや違和感
- 食事や会話の際の不調
- 強い口臭
それぞれ説明します。
口の中の痛みや出血
口腔がんの症状で最も多いのが口の中の痛みです。粘膜が赤くなったり、白色に変色したり、形が変わったりして、痛みや出血を伴います。しかし、初期の段階では痛みが少ない場合も多いため、痛みが出た時はすでに進行しているケースも少なくありません。
歯ぐきの腫れや出血
歯肉がんの場合にみられる症状は、歯ぐきの腫れや痛みです。進行すると潰瘍や腫瘍が大きくなり出血を伴います。
原因不明の歯のぐらつき
歯肉にできたがんが進行すると歯を支える組織にがんが浸潤し、歯がぐらついたり、入れ歯が合わなくなったりする症状が現れます。
舌のしびれや違和感
舌がんでみられるのは、舌のしびれや動かしにくさ、違和感などの症状です。舌の粘膜が赤くなる紅板症や白くなる白板症などがみられる場合もあります。
食事や会話の際の不調
口腔がんが進行すると、飲み込みにくい、話しにくいなどの症状が現れます。粘膜のただれや痛みによって食事や会話に支障をきたす場合もあるでしょう。
強い口臭
口腔がんでは強い口臭がみられる場合もあります。特に舌がん、頬粘膜がんに生じやすいでしょう。
口腔内の痛みは口腔がんの前兆?治らない口内炎に要注意
口腔がんの自覚症状で最も多くみられるのが口腔内の痛みです。その他の自覚症状には、しこり、腫れ、変色なども挙げられます。
しかし、口腔がんの初期では痛みが出ない場合も少なくありません。痛みが出た時には進行しているケースも多く、舌や歯肉の盛り上がり、硬いしこりなどがみられる場合もあります。また、なかなか治らない口内炎は口腔がんの可能性があるため要注意です。
口腔がんと口内炎の見分け方
口腔がんと口内炎は症状や見た目が似ているため、正確に見分けるのは簡単ではありません。口腔内の痛みや粘膜のただれの多くは口内炎であるケースがほとんどですが、稀に口腔がんの初期症状である可能性もあります。
特に、なかなか治らない口内炎は口腔がんかもしれません。2週間以上治らない口内炎がある場合は早めに専門医を受診するようにしましょう。
舌に赤い点やできものがあると舌がんの可能性はある?
舌に生じる赤い点やできものの多くは、粘液のう胞(ガマ腫やブランディンヌーンのう胞など)、唾石症、乳頭腫などです。ほとんどが適切な処置で改善しますが、放置してしまうと舌がんなどに発展する場合があります。
舌に違和感があったり、できものが生じたりした場合は歯科医院か口腔外科を早めに受診するようにしましょう。
口腔がんの初期症状に当てはまるかセルフチェックしてみよう
口腔がんは他のがんとは違い、セルフチェックによって初期段階で発見しやすいのが特徴です。
まずは、以下のセルフチェックで症状がないかを確認しましょう。
口内炎が2週間以上治らない | |
口の中や舌の粘膜の色が白く変化している | |
舌の赤みが強くただれている | |
舌の表面がざらついたり、しこりを感じたりする | |
歯ぐきに腫れや出血がある | |
歯のぐらつきがある |
さらに細かい口腔内のチェックは、以下のような手順で実施しましょう。
- 明るいライトと鏡を用意する
- 入れ歯やその他の外すことのできる補綴物(ほてつぶつ)を外す
- 水でよくうがいする
- 上の歯と下の歯を軽くかみ合わせて、上下の唇を指で持ち、唇の内側を観察する
- 唇を持ったまま前歯の歯肉も観察する
- 口をあけて頬を指で少し外へ引っ張り、上下の奥の歯肉と頬っぺたの内側を見て触れる
- 鏡を使い、歯肉の裏側を観察する
- 頭を後ろにそらして、口蓋を観察する
- 人差し指で触れながらしこりや肥大がないか、また、色の変わった部分がないかを確認
- 声を出し、喉奥の色の変化や粘膜に異常がないかを確認
- 舌を前に出し、舌を表面と左右の裏側を確認。ガーゼやティシュで、舌をやさしく挟んでそっと引っ張り、舌の表面・裏面・側面に変色や異物がないかを確認する。
- 舌の裏側と下の歯肉の粘膜も異常がないか、見て触って確認する
- 首や下あごにこぶ状のものがないかを、触って確認する
口腔がんの早期発見にはリスク検査がおすすめ
膵口腔がん原因や症状などについて解説してきました。口腔がんは他のがんとは違い、比較的自分で早期に発見しやすいがんといわれています。口腔内の痛みや違和感、なかなか治らない口内炎などは口腔がんの症状かもしれません。自覚できる症状が出てきた頃にはある程度進行している可能性が高いため、口腔内に気になる症状がある場合は早めに医療機関を受診しましょう。
また喫煙や飲酒の習慣がある方は、口腔がんのリスクが高まるため、定期的な検査をおすすめします。日々の生活が忙しく医療機関で検査を受けたり、病院に足を運んだりするのが難しい方も多いかもしれません。そのような方におすすめなのが自宅で簡単にできる検査キットの使用です。
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